Shopifyを起点に在庫を一元管理する方法|複数モール連携の設計と運用フロー


Shopifyを在庫の更新元に固定し一方向同期で運用すると、複数モールの在庫ズレや二重販売を減らせます。導入前の準備から運用フロー、連携方法の選び方までを実務目線で整理します。

この記事のポイント

  • 在庫の更新元を1つに決めることで、複数モールの在庫ズレ・二重販売を防げる
  • Shopifyを更新元にした一方向同期は、少人数でも運用が回りやすい
  • 導入前にSKU統一・安全在庫・例外ルールを整えると、運用開始後のトラブルが減る
  • 連携方法はアプリ→OMS→API連携の順で検討し、自社規模に合った手段を選ぶ
目次

なぜ「在庫の更新元」を1つに決める必要があるのか

複数モールで販売していると、在庫を「どこで減らすか」「どこに合わせるか」が曖昧なだけで在庫ズレは起きます。問題を仕組みとして捉え、更新する場所を1つに絞る必要性を整理します。

複数モール管理で起きる典型的なトラブル

  • 注文が入るたびに各モールの在庫数を手作業で更新している
  • 片方の更新が遅れて別モールで売れてしまう(=二重販売)
  • キャンセル・返金・顧客対応が増え、出荷作業が止まる
  • 担当者が休むと在庫更新が回らない

「在庫の数字がズレる」こと自体よりも、その後の対応(連絡、変更、再手配、クレーム対応)が運用を圧迫します。

「どこの在庫が正しいか分からない」状態の危険性

更新する場所が複数あると、日々の判断がすべて勘頼みになります。

  • 受注が増える日(セール、広告、SNS拡散)ほどズレが拡大する
  • 在庫が薄い商品ほど引当が遅れて欠品につながる
  • 返品・交換・取り置きなどの例外処理が積み残しになりやすい

結果として、売上機会損失と信頼低下の両方が起きます。

更新元を1つに決めると何が変わるのか

在庫の更新元を1つに決めると、運用設計がシンプルになります。

  • 「在庫を直す場所」が1つになる(見るべき画面・担当・手順が固定される)
  • 同期エラーが起きたときも原因切り分けがしやすい
  • 例外処理(予約、取り置き、セット商品)も更新元での扱いに寄せてルール化できる

重要なのは、ツールの選定より先に「更新元をどこに置くか」を決めることです。

在庫ズレが起きる原因|よくある5パターン

在庫ズレの対策は原因によって打ち手が変わります。自社のズレがどのパターンに近いかを特定し、必要な対策に絞り込みましょう。

原因1:手動更新のタイムラグ

手動更新は、どれだけ頑張っても「更新忘れ」「更新遅れ」が発生します。

  • 注文が立て続けに入ったときに更新が追いつかない
  • 出荷作業を優先して更新が後回しになる
  • 複数拠点の在庫を合算していると確認に時間がかかる

対策は「更新作業そのものを減らす」こと。更新元を1つに寄せ、モール側の在庫変更は原則やめます。

原因2:在庫同期の遅延(反映待ち時間)

自動同期でも反映にはタイムラグがあります。注文が集中する時間帯は遅延が目立ちます。

確認ポイントは次の2つです。

  • 更新元から各モールへの反映が遅れていないか
  • 反映が遅れる前提で安全在庫(バッファ)を持てているか

対策は「安全在庫の設定」と「アラート運用」。遅延をゼロにするより、遅延が起きても事故にしない設計に寄せます。

原因3:同時注文による引当競合

在庫が少ない商品は、別モールで同時に注文が入るだけで二重販売になりやすくなります。更新元での引当が間に合わない、または反映が遅れるのが主因です。

実務上の対策は以下です。

  • 薄い在庫の商品は安全在庫を厚めに取る(売り切れ表示を早める)
  • セール前後は同期エラーと欠品アラートの監視を強化する
  • 例外時の判断(キャンセル優先か、代替提案か)を決めておく

原因4:SKUの不統一(商品コードの揺れ)

SKU(商品コード)がモールごとに揺れていると、同期しても「別商品」として扱われます。

  • 同一商品なのにモールごとに商品コードが違う
  • セット商品・カラー違いが運用担当の判断で作られている

対策は「SKUの定義を固める」こと。後から整えるほど手戻りが増えるので、導入前に統一ルールを決めます。

原因5:返品・予約・取り置きの処理漏れ

在庫の数字は「通常販売」以外の動きでズレます。特に漏れやすいのが返品・交換、予約、取り置き、セット商品です。

  • 返品で戻った在庫を更新元に戻し忘れる
  • 予約分を先に引き当てずに通常在庫として売ってしまう
  • セット商品の構成品の在庫が手作業でずれていく

対策は「例外処理は更新元のルールとして固定する」こと。モールごとの個別対応を増やすほど漏れが増えます。

Shopifyを在庫の更新元にする理由とメリット

更新元は「在庫を誰が、どこで、どう直すか」を支える土台です。Shopifyを更新元にする選択が合うケースと、別の選択肢を検討すべきケースを分けて考えます。

更新元の選択肢:Shopify / OMS / 基幹システム

更新元の候補は大きく3つです。

  • Shopify(ネットショップの管理画面を起点にする)
  • 受注・在庫・出荷をまとめて管理するシステム(OMS)を起点にする
  • 既に使っている基幹システムを起点にする

どれが正解というより、運用体制と販売チャネルの重みで決めます。少人数で主戦場がネットショップ中心なら、Shopify起点が現実的です。

Shopifyを更新元にするメリット

  • 管理画面が分かりやすく、担当者が交代しても引き継ぎしやすい
  • 在庫・商品・注文のデータがまとまっており、運用ルールを作りやすい
  • 外部連携(アプリやAPI)で選択肢を増やしやすい

運用の狙いは「在庫を直す場所を1つにして、例外だけ人が判断する」形に寄せること。その土台として、更新元が扱いやすいことは大きなメリットになります。

Shopifyを更新元にする場合の注意点

Shopifyを更新元にしても、運用設計が曖昧だとズレは残ります。特に次は先に決めておくと事故が減ります。

  • 安全在庫(バッファ)をどの商品にどれくらい設定するか
  • 返品・予約・取り置き・セット商品をどう扱うか(更新元で統一)
  • 同期エラー時に誰が何を確認し、いつ手動対応に切り替えるか

実店舗や卸が主戦場で、在庫の動きがShopify外で頻繁に起きる場合は、更新元を別に置いたほうが運用が安定することもあります。

一方向同期と双方向同期の違い|どちらを選ぶべきか

在庫同期は「一方向」と「双方向」で難易度が大きく変わります。少人数で回す前提なら、一方向同期で壊れにくい運用を作るのが基本です。

一方向同期とは:更新元→各モールへ一方向に反映

一方向同期は、更新元(例:Shopify)で在庫を減らし、各モールへ在庫数を配信する考え方です。

  • 在庫を直す場所:更新元のみ
  • モール側:在庫は受け取って表示する(原則、個別に直さない)

運用上のメリットは「見るべき場所が1つ」になること。担当者が迷わず、引き継ぎも楽になります。

双方向同期とは:各モールの受注を相互に反映

双方向同期は、各モールで受注が入るたびに在庫が減り、その減った在庫が他モールにも反映される考え方です。

理屈としては在庫ズレを抑えやすい一方で、実務では次の難しさがあります。

  • どこかが遅延・停止すると連鎖的にズレが広がる
  • 原因特定が難しく、復旧手順が複雑になりやすい
  • 例外処理(予約、取り置き、セット)が増えるほど設計が重くなる

比較表:管理のシンプルさ・同期速度・障害時リスク

項目 一方向同期 双方向同期
構造 シンプル(更新元→各モール) 複雑(各モール⇔各モール)
運用負荷 低(見るべき場所が1つ) 高(複数モールの状態を監視)
障害時の影響 限定的 連鎖的に波及しやすい
適した規模 小〜中規模、少人数運用 大規模、専任担当あり

SMBには一方向同期がおすすめな理由

小〜中規模で担当が限られている場合、狙うべきは同期の完璧さより運用が回ることです。

  • 手順が少ないほど例外時に復旧しやすい
  • 障害時に影響範囲を限定できるほど顧客対応が落ち着く
  • 監視対象が増えないほど担当者の負荷が増えにくい

まず一方向同期で更新元を固定し、事故が減ってから必要に応じて高度化するほうが結果的に安定します。

導入前に必要な準備|SKU統一・安全在庫・例外ルール

在庫一元管理は「同期を入れれば終わり」ではありません。導入前に整えるほど、運用開始後のトラブルと手戻りが減ります。

準備1:SKU(商品コード)の統一

最優先はSKUの統一です。ここが揃っていないと、同期しても別商品として扱われ、ズレの温床になります。

  • 同一商品は同一SKUにする(モールごとの命名をやめる)
  • バリエーション(色・サイズ)のルールを固定する
  • セット商品は親SKUと構成品SKUの関係を定義する

準備2:安全在庫の設定

同期遅延や同時注文のリスクを吸収するために、安全在庫(バッファ)を設定します。

  • 薄い在庫の商品ほどバッファを厚めにする
  • セール対象や回転が速い商品は期間中だけバッファを見直す

「安全在庫をどれくらいにするか」は、理屈よりも運用上の事故コスト(キャンセル対応、信用低下)を基準に決めると判断しやすいです。

準備3:例外処理のルール決め(予約・取り置き・セット商品)

例外処理は都度判断にすると漏れます。更新元での扱いをルール化しておきましょう。

  • 予約販売:予約分は先に引当するのか、入荷予定で管理するのか
  • 取り置き:誰が、どの画面で、いつ在庫を引くのか
  • セット商品:構成品の在庫減算ロジックを固定する

準備4:現在の在庫数の棚卸し

導入時点で実在庫とシステム在庫がズレていると、同期後もズレが持ち越されます。開始前に棚卸しを行い、基準となる在庫データを揃えます。

導入前チェック(最低限):

  • □ 全モールでSKU(商品コード)が統一されている
  • □ 安全在庫の設定基準が決まっている
  • □ 予約販売・取り置きの在庫処理ルールがある
  • □ セット商品の在庫計算ルールがある
  • □ 棚卸しで実在庫とシステム在庫が一致している

運用フローの設計|受注から出荷までの流れ

在庫一元管理は運用フローに組み込んで初めて効果が出ます。受注から出荷まで、どこを自動化し、どこに人が介在するかを分けて設計します。

運用フローの全体像:受注→引当→同期→出荷

基本の流れは次のとおりです。

  1. 各モールで受注が発生
  2. 注文情報を更新元(Shopify)へ集約
  3. 更新元で在庫を引当し、在庫数を更新
  4. 更新された在庫数を各モールへ同期
  5. 出荷・配送(出荷実績の反映)

この流れを崩すと、どこかで二重入力・取りこぼしが発生します。特に「在庫を引くタイミング」と「同期のタイミング」は固定しましょう。

自動化すべきポイント:在庫同期、受注取り込み

少人数運用では、自動化の優先順位を間違えると現場が疲弊します。まず自動化したいのは次の2つです。

  • 受注取り込み:注文を更新元へ集約する(人の転記をなくす)
  • 在庫同期:更新元の在庫数を各モールへ反映する(個別更新をなくす)

ここが自動化できると、人は例外対応に集中できます。

人が確認すべきポイント:例外処理、アラート対応

自動化しても人の確認が必要な領域は残ります。最初から確認ポイントを決めておくと、属人化を防げます。

  • 予約・取り置き・セットなど例外ルールに当てはまる注文
  • 入庫が薄い商品の優先順位(どの注文を優先するか)
  • キャンセルや返品の戻し処理が滞っていないか

アラート設計:在庫少・同期エラーの通知

在庫一元管理では「気づけなかった」が最大の事故要因です。最低限、次の2種類は通知できるようにします。

  • 在庫少アラート:薄い在庫のSKUが一定以下になったら通知
  • 同期エラーアラート:同期が失敗したら通知(誰が何を確認するかまでセット)

通知を作っただけで満足せず、「誰が」「何分以内に」「どの手順で」対応するかまで運用設計に落とし込みます。

在庫連携の方法3選|アプリ・OMS・API連携の比較

在庫連携の実現手段は、費用だけでなく「運用のしやすさ」「保守できる体制」で選ぶ必要があります。代表的な3パターンを整理します。

方法1:在庫連携アプリ(低コスト・すぐ始められる)

設定中心で始められるのが在庫連携アプリの強みです。

  • 少人数でも導入しやすい(運用を早く固定できる)
  • まず一方向同期の形を作りやすい

一方で、例外ロジックが多い場合や、拠点・セット商品が複雑な場合は運用で吸収しきれないことがあります。

方法2:OMS(一元管理システム)導入

受注・在庫・出荷までを一つの画面で運用できるのがOMSです。中規模以上、または複数チャネルの運用が複雑になってきた段階で検討しやすい選択肢です。

  • 運用の標準化(誰が見ても同じ手順)に寄せやすい
  • 受注処理と在庫管理を一体で設計しやすい

注意点は「導入がゴールになりやすい」こと。更新元をどこに置くか、例外処理をどう統一するかを先に決めてから選定します。

方法3:API連携(自社開発・高度なカスタマイズ)

独自のロジックが必要な場合や、同期速度・判定条件に強い要件がある場合はAPI連携(自社開発)が選択肢になります。

  • 例外ロジックを自社運用に合わせて作り込める
  • 将来の拡張を前提に設計できる

ただし、開発よりも「監視・復旧・保守」を含む運用設計が重要です。担当者が変わっても回る体制がないとトラブル時に止まります。

比較表:コスト・導入期間・対応モール・サポート

方法 初期コスト 月額目安 導入期間 適した規模
在庫連携アプリ 無料〜 1万円〜 数日 小規模・スタートアップ
OMS 数万円〜 3万円〜 2週間〜 中規模・多チャネル
API連携 開発費(数十万円〜) 保守費 1ヶ月〜 大規模・特殊要件

金額や期間は目安で、実際は「例外処理の多さ」「拠点数」「担当体制」で変わります。迷ったら、まず一方向同期で更新元を固定する運用を作れる手段から始めるのが安全です。

導入判断チェックリスト|自社に合った方法を選ぶ

自社の状況を整理し、どこから始めるべきかの判断材料を用意します。ここで整理できると、導入後の運用設計もブレにくくなります。

チェック1:現在のモール数・SKU数

在庫一元管理の効果が出やすいのは、モール数とSKU数が増えたときです。

  • モール数が増えるほど更新作業と監視が増える
  • SKU数が増えるほど薄い在庫・例外SKUの管理が難しくなる

チェック2:在庫ズレ・二重販売の発生頻度

在庫トラブルがたまに起きる段階でも、セールや繁忙期に一気に顕在化します。発生頻度だけでなく「起きたときの対応コスト」も見積もっておきましょう。

チェック3:担当者の人数・スキル

専任がいない場合は、運用負荷が低い方法を優先します。

  • 見るべき場所が1つ(更新元に集約)になっているか
  • 同期エラー時の復旧手順を担当者が理解できるか
  • 例外処理をルール化できるか(都度判断になっていないか)

チェック4:今後の拡大計画

今後チャネルや拠点が増えるなら、いまの運用が増やせる形かを確認します。最初から作り込みすぎず、更新元の固定と運用フローを先に固めるのが基本です。

判断フロー:どの方法から始めるべきか

次の順で判断すると、選定がブレにくくなります。

  1. まず「在庫の更新元」を1つに決める(Shopify起点に寄せられるか)
  2. 例外処理(予約・取り置き・セット)を更新元のルールとして固定できるか確認する
  3. 少人数なら一方向同期で回る手段を優先する(設定中心の手段→必要なら段階的に高度化)

現状確認チェックリスト:

  • □ 3モール以上で販売している
  • □ SKU数が100以上ある
  • □ 月に1回以上、在庫ズレや二重販売が発生している
  • □ 在庫更新を手動で行っている
  • □ 在庫管理の専任担当がいない
  • □ 今後、販売チャネルを増やす予定がある

まとめ|Shopify起点の在庫一元管理を始める3ステップ

実務で迷いにくいように3ステップにまとめます。

  1. ステップ1:Shopifyを在庫の更新元に決める(一方向同期の設計)

    • 在庫を直す場所をShopifyに固定し、各モール側の在庫更新を原則やめる
  2. ステップ2:導入前の準備を整える(SKU統一、安全在庫、例外ルール)

    • SKUを揃え、安全在庫で遅延・同時注文のリスクを吸収し、例外処理をルール化する
  3. ステップ3:自社に合った連携方法を選び、運用フローを固める

    • 受注→引当→同期→出荷の流れと、アラート・復旧手順まで含めて運用設計に落とす

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